ニコラス・ウィンディング・レフンとライアン・ゴズリングのタッグが「ドライヴ」以降、再び!ってことで「オンリー・ゴッド」を見てきました。
見終わった後、いい意味でのポカーン感は久しぶりで、例えばデヴィッド・リンチや大林宣彦の映画だったり、漫画で言うと西村ツチカの「さよーならみなさん」の読後感みたいな。とにかく良い映画体験ができたなぁ~と映画館をあとにしました。
そもそもニコラス・ウィンディング・レフン監督のインタビューを読んでいると「オンリー・ゴッド」は、「ドライヴ」が成功してちょっと調子にのってしまったので、その戒めの映画と思っていても良さそうです。
レフン監督が映画を撮る前に、同じ映画監督で友人のアレハンドロ・ホドロフスキーにタロット占いをしてもらうそうです。
GucciのCMをやったことについても怒られました。「なぜコマーシャルをやるんだ」「金に囚われすぎている」と。
と怒られたそうです。
反動みたいなものでしょうか。ヱヴァンゲリヲン新劇場版で例えると「破」のあとの「Q」とか、ずっと暴力映画を撮ってこなかった北野武における「アウトレイジ」みたいな。とにかく今作は、ここまで振り切っている内容になったのだと…なるほど。
物語は、復讐劇なのですが、お話自体はあまり意味がないような感じです。起承転結がハッキリしていなく、本当に淡々と話が進んで行きます…と言うか、淡々と人が死んで行きます。罪があってそれを乗り越える儀式みたいな…まぁ観念的。
ただ、そのシーンひとつひとつの画面がすごく美しく、なんというか、カッコいいんです。全体的に赤を基調とした配色やシンメトリーの設計された画面、ネオンあふれるバンコクの路上の引きのシーン、ネオンに染まるライアン・ゴズリングなど、カッコ良すぎてため息がでます。
俳優もゆっくり歩いて、瞬きもほんとんどせず、人形みたいな演技。台詞での説明もほとんどないので、あとで「オンリー・ゴッド」の解説を読んで、そんな設定だったんだと、あとで気付く始末。
音楽もズーーーーーン…ヴァン!っ的な終始ドローン。ラストはキラキラしたエレクトロニのような音楽を使って、物語で落ちをつけたというか音楽で落ちをつける感じ。これは何?力技?なんだかいきなり感動した。
なんだかアート映画を見ているみたい…いやいやこれはアート映画っぽいですよ!ということで、賛否が分かれるというのは当然だよね。
ただ、こういう映画は、どこに連れて行かれちゃうの!?と普段体験できない感情が呼び起こされるから、自分にとってはたまらないです。
レフン監督もそれが狙いっぽくて、「オンリー・ゴッド」をアシッドに例えて…
観ている人の意識の中にこの映画が浸透すると、現実が変容するからです。現実の別の解釈が生まれる。色彩とも深く関係していると思います。それと、何事にも目に見えないサブリミナルな意味がある、ということについての映画だからです。心拍数が下がって、感覚が研ぎ澄まされる、深い瞑想状態と近いですね。毎日慌ただしく過ごすことに慣れているわれわれにとっては、そういう心理状態になるのは難しいですが。
と語っております。本当に悪い監督だな~とニコニコしちゃいました。そんなレフン監督の次回作は、日本で撮る予定ってことなので、楽しみだ。
最後に日常系(私の好物)もいいけど、たまには非日常な作品もいかがでしょうか!?