夏からなのですが、実家に住みはじめてまして。
実家を出る前と帰ってきたあとでは、自分の趣味嗜好が大分変わったんだな〜と。まぁ7年も経てばそういうもんですよね。
すごく簡単に例えると、レトロな間接照明や種類のちがうソファが並ぶダイニングが「ウキウキする」から「お洒落だけど落ち着かない」とか、ボロボロの暖簾の居酒屋が「負のオーラがヤバい」から「雰囲気が良い」とか、そういう感覚になっていて、したがって少し寂れ気味の実家のまわりには、アンテナに引っかかる風貌のお店や、評判を聞き行ってみたら良い意味で引っ掛かりのあるお店が、結構あるんですね。
そんなお店に呑みに行くのが最近楽しくて楽しくて。
そんな中、知人から自分の家の近くで素朴だけど美味しい中華料理屋があると聞いて、行ったらなかなか良かったので、再度行ってきた。
その店は自分が子供の頃からあったお店で、なんとなくそこには赤いテント屋根のお店があると認識はしていた。
店はカウンターのみの8席ぐらいの店内で、今日も店主のおじさんがキビキビと働いていた。
瓶ビールと青梗菜の炒め物を注文して、おじさんが分厚い中華包丁でリズムよく野菜を刻んでいたり、大きな中華鍋にたくさんの油をいれ、鍋を振っているところを眺めらがら、ビールをチビチビやっていると、すごく気分が落ち着いてきた。
サクッと出てきた青梗菜の炒め物は、油の加減とシャキシャキした感じがちょうどよくて、美味しかった。
次に細切り肉の焼きそばを注文。まず具と炒め、そばは別の鍋の上にのせて片面だけ焦がして、皿で一緒に盛るタイプの珍しい焼きそば。焦げているところがまばらで、焦げているところにはこの具、焦げていないことろにはこの具と楽しみながら食べた。
途中、横の二人組のおじさんとおばさんがお会計を頼むと『お金いらない』と店主。二人組のおばさんは『商売だから、それはダメ』と。
どうやら、ちょっとした知り合いか常連さんでケーキをお土産に持ってきたらしい。
いる!いらない!カウンター越しを行き来するお札。結局はおばさんが勝って、お金を払って帰った。たしかに商売なんだから、お金は受け取ってもらいたいとぼんやり思った。
最後お会計時、おじさんは『なんかすみませんね、すみません』と謝罪をしてきた。なぜか前回も言っていたっけ。
そんな不器用な人柄の店主にホッコリしつつ、『美味しくったです』と言って店を出た。