年末ですね。
毎年恒例、今年読んだ漫画の中で面白かったものを10作品選んで並べたいと思う。
今年の傾向としては、購入した数も減ったせいもあるかもしれないが、圧倒におもしろい!という作品には出会えていなくて、続いている漫画がこのタイミングで面白くなってきたという印象が強いです。
趣味的には、日常系がより好きになり、日常で考えいることや言動や行動が細かく描かれていると尚たまらないという感じです。そういう漫画はお酒を飲みながら読んでいると「く〜っ」となっちゃう。とにかく物語よりも好きなシーンがあるかが重要になってきているかも。
あと設定や世界感のつくりこんだものも好き。そいう作品を読むと「よくできてるな〜」「クリエイターだな〜」と唸ってしまう。笑
また、主人公が中年の男性、女性のほうが物語にログインできて読める。それりゃそうすよね。来年で35ですからね。
とにかく、そんな傾向が10作品の選択に影響が出てるかもしれないです。
10位 みちのくに みちつくる - しまたけひこ
『アルキヘンロズカン』で四国のお遍路を扱ったしまたけひこ。
この漫画がすごく好きでたまに読み返しては、元気をもらっていたりしてます。新作は3.11の被災地を徒歩で巡るモキュメンタリー。
テーマ的にも『アルキヘンロズカン』よりも大分重めなのだが、しっかりニヤっとさせてくれるところがあるので、バランスが良いと思う。
そのバランスというのが、被災地をどうとらえれば良いのか?旅行者に気軽に来て欲しいって言う人もいたり、その逆に来てもらいたくない人もいるし、みたいな揺れ動くテーマと直結していて、さすがだと思った。
もっと売れて良い漫画家さんだと思うのですが…。
9位 金の国 水の国 - 岩本ナオ
イイ男とイイ女が世界を良い方向へ導く理想的なお話。
ファンタジーなのだけど政治的な部分がありそのバランスが良かった。お話的にもよくできているし、ここを見てくれ!という見せ場もあるし、小さなコマでも良いシーンもたくさんあって、一冊にちゃんとまとまっている作品です。
8位 おんなのいえ - 鳥飼茜
昔から女性の内面をシリアスに語っている漫画が結構好きでして、自分の中でその代表格が渡辺ペコです。登場人物の内緒的なモノローグにちょっと悲しくなったり、クール!となったり、とにかくそんな漫画家を待望していて、そこで登場したのが鳥飼茜です。シリアスなモノローグがでてきたは、やっぱこういう漫画好きなんだと改めて思いました。
また、この作品は、人生酸いも甘いもあるよね感とか運に左右される感じとか、少しウディアレンの映画みたいな要素もあって、そこもまた良いです。今年完結したので、一気読みできるので、おすすめです。
7位 AIの遺電子 - 山田胡瓜
カリフォルニアで働く有名エンジニアの宮川達彦がやっているRebuildというポッドキャストで紹介されていて、読んでみたらとても興味深い短編集でした。
今年はAIにまつわるニュースやサービスや書籍など、世にたくさん出回った年だったと思うんだけど、その話題になったり問題になったりすることが、リアルタイムに漫画にフィードバックされていて、なるほど!となる漫画。調べてみたらIT記者から漫画家になった方のようなので納得。また癖のない絵はわりと自分は好きです。
6位 休日ジャンクション - 真造圭伍
真造圭伍の漫画では、『ぼくらのフンカ祭』がすごく好きで、それ以降ちょいちょい読んでいたけど、グっとくる漫画がなかった。
そんな真造圭伍の新作「休日ジャンクション」は日常系の短編集で、小さな喜怒哀楽が丁寧に細かく描かれていて、すごく良い。
SNSで話題となった『家猫ぶんちゃんの一年』 も良いけど、腐れ縁の友達と久しぶりに会ってテニスをする話や、近所のかわいい小学生とデートする話もおもしろい。
また、登場人物のファッションが今っぽいというか『POPEYE』っぽいというか、そんなところも魅力的です。
5位 HaHa - 押切蓮介
押切蓮介の母の若い頃の話をテーマにした漫画。
毎回ながら馬鹿すぎて肩の力がぬけてしまうギャグも今回も炸裂しながら、母の青春が終わるときが描かれており、とても切ない。
最終的にはピンと背筋のびる元気が出る漫画です。
4位 ヴィンランド・サガ - 幸村誠
『プラネテス』と比べると、説教臭いとかグッとこないとか聞くことあるけど、自分はヴィンランド・サガが好きというか凄いと思う。
まず、ここまで大きな物語を時間をかけて着実に進めてる点が凄いし、絵も見ての通り凄い。そして、ポリティカルコネストネスに配慮している点や戦争や暴力に対してどう立ち向かえば良いのか?というむずかしいテーマを扱っているのも立派。
この真っ当で重厚な漫画のどう最後を迎えるのか、見届けたいなと思います…とついついこの漫画を語ると暑苦しくなっちゃう。笑
「奴隷編」を終え、新たな旅で新たな仲間が出会う。物語の推進力が強くなっているので、おもしろくなってきている。
3位 ダンジョン飯 - 九井諒子
実は、RPGの冒険者は何を食べて冒険をしているのか?という素朴な疑問にモンスターを調理して食べていました!みたいな、変化球のグルメ漫画。
実際全く美味しくなさそうなモンスターも美味しく見えちゃって、グルメ漫画として大成功だったのだけど、それだけで引っ張らず、最新刊では敵にも都合があり本当の悪なんていないのでは?とか大人な話だったり、ダンジョン内の生態系を主人公らは考えはじめて食から生命の話になったり、テーマを広げてきた。
本当によく考えられてよくできた漫画だな〜と関心しちゃう。
2位 たそがれたかこ - 入江喜和
「いい歳してみっともない」とか思ったりする。例えば、いい歳なのに丈の短いスカートを履いたり髪を染めたりして若作りしたり、いい歳なのにラップなんてはじめてみたり…後者は自分です。笑
それは滑稽なことだしみっともないことだと基本には思いますよ。歳相応の服装や趣味や品格…わかるよわかる…。
ただそんな他人の目から解放されると、人は気持ちよくなる。そしてその対象にハマればハマるほどどんどん気持ちよくなる。否定的だった他人の目も変わることだってある。
この漫画の主人公は、偶然聴いた深夜のラジオ放送きっかけで、若いロックバンドにのめり込み、本当にこれでいいの?と臆病な心と葛藤しながら、それがきっかけで人生が好転しはじめる。
好きなものがある人の強度とか、音楽で救われる感じとか、テーマが素晴らしくて、もう泣いちゃいそうでした。また自分よりも少し歳を重ねた人は、どんなことを考えているのか、なるほど!と思うことも多くてその辺もタメになります。
ちなみにこの漫画の著者は、新井英樹の奥さんらしいです。凄まじい夫婦だ。
1位 HUNTER×HUNTER - 冨樫義博
ハンターハンターの新しい章がはじまるとき、広敷を広げるところがなんたって最高!冨樫義博先生は、設定や世界観を作るのがうまく、またいかにも強そうな奴やいかにもわけがありそうな怪しい奴など登場させたり、とにかく広敷を広げる名人だと思う。
また、その大きく広げた風呂敷を強引に畳むのも魅力…というか、みうらじゅんが言っていたんだけど、「ファンはどんな作品対してもケチをつけちゃダメ!黙ってついていくべき!」とかラジオで言っていた。そんな心理かもしれません。
とにかく新しくはじまりいつ終わるかわからない(多分長い年月がかかるのだろう…)「暗黒大陸編」。広敷が広がってきて、複線らしきものがはられるたびに、ワクワクとまらない。また今回の章では、冷徹無比なクラピカが登場し活躍しそう。
やっぱハンターハンターはおもしろれ~!と改めて思ってしまいました。はやく続きが読みたい…。
以上、10作品はおすすめです。
お正月にでも酒飲みながら読んでみてください。