めんどくさいオジサン

めんどくさいと言いながらいろいろやる趣味ブログ。最近は音楽制作とキャンプ。

宮川さとしの「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」を読んで安心して泣きましょう!

本とか映画とかで、物語を楽しむ理由は、自分が未だ体験できていない世界に連れて行ってくれるからというのが、よく言われる理由の一つだったりしますよね。

自分の場合、学園のラブコメや青春系の作品が好きなのは、自分が体験できななかった華やかな学園生活の体験を補完するためだ。モテモテの学園生活とは言わないまでもグループ交際してて、あの子が俺のこと?そんなことなんてないよなぁ~とかそんな具合で充分よかったよぅ!!

もちろん、ハードボイルドな犯罪モノや戦争モノを手に取る理由は、もし実現したら最悪!と思う世界を物語だったら体験できるからということだったり。

先日、読んだ漫画は「母親が死んだらどうなる?」ということを体験できる作品でした。宮川さとしの「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」というちょっと意味深なタイトルの漫画だ。

母との淡々とした日常、母の闘病生活、母の死、母の死んだあとのことを、「500日のサマー」みたいに時系列ではなく、順序バラバラを進んでいくエッセイ漫画だ。

平日の深夜、読んでいたいんだけど、信じられないぐらい泣いちゃいました。

話自体は、なんとも思ってなかった事がそれを亡くしたときに改めてその大切さに気付くという、JPOPの歌詞であったような感じ。だけど、その亡くした時の描写がとてもリアル。

母を亡くしたときに、骨を食べたいと思う主人公、やけになり酒にすがる父の泣いてすぐ寝ちゃうところ、自分の時計と母の形見である時計をつけて二つの時計をつけている兄。このひとつひとつの描写が想像でき「そうだような~」と同感して、もう涙が…。

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また、ただのお涙ちょうだいものにはなっていなく、泣くということにちょっと距離を置いているというか、主人公がやけに冷静にだったり、エッセイ漫画なのにどこか客観的なクールが視点が入っている。絵柄もせいかもしれないけど、安心して泣けます。

またラストは、母の死から主人公が一歩前に進む展開になっており、死をテーマにした作品なのにとても前向きになれる。またその展開が今の宮川さとしさんの漫画化人生とつながっていると思うと、応援しなくちゃ!と気持からこの漫画をブログで紹介しようと思った次第です。

アルツハイマー認知症にかかった母との話をつづった漫画「ペコロスの母に会いに行く」もそうですが、人生におけるネガティブな部分を先に作品で体験することによって、実際にその時が来たときに、それに対してちょっと穏やかに対応できそうで。そういう観点からも、「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」は素晴らしいので是非手に取ってみてください!

  

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

 

  

ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行く