大好きな漫画が終わった。
いまだ活気がある架空の商店街を舞台に、ミステリー小説が好きな女子高生の日常。
一見凡庸な設定。なんだけどポップな絵のタッチ、キャラクターの魅力、たまにある不思議な回。
これはおもしろい!名作!とまではいかないけど、ちょうど良いおもしろさで、ぬるま湯につかっているように、いい塩梅。飽きずに長く読み続けた。
実際に風呂でよく読んでた。
練馬区の団地みたいなマンションに住んでいたときだった。仕事から帰ってきて、ごはんを食べて、あっという間で23時頃。レバーをガチャガチャ回して沸かすタイプのくそ狭いで風呂で、新しい巻が出るたびに、1時間ぐらいかけて読む。
気持ちが落ち着くんだな、これが。
何巻か忘れたけど、話の順番と時系列順が一致しない。主人公の高校三年間の時系列がシャッフルされている設定ということが書かれており、その設定がカッコいい!ジャパンクール!(正直、かわいい女子高生の日常漫画だけだと人におすすめしずらいので、何か言い訳っぽい設定が欲しかった)ってことになり、いよいよ身を乗り出して、大好きな漫画になり、人にもおすすめしたりした。
ひとつ好きな話をあげると、主人公が夜中に小学生の弟を連れだして、学校やコンビニに行くという話。
子供のころ、夜は怖かった。だけど、誰かにつれられてはじめて夜中に外に出かけたとき、怖くはなかったというか「夜の街はこうなっているのか、なんか昼とはにおいが違うな」と思った。そしてちょっと背伸びしている感覚だったのを覚えている。
先日、最終巻の16巻を読んだとき、この漫画とともあった7~8年のことを思った。
ソファーに横になり天井を眺めて「最後も最高だった」「長かった」「もう終わっちゃうのか」といろいろ感情をあまがみしながら余韻に浸った。
おっさんになってきたので、いろいろある。そんなにはではないけどそこそこ忙しい。だから長い期間をかけて、ひとつに漫画にゆるい情熱をかけて追い続けることは、もうあまりないかもしれない。
だから、最終巻を読んで余韻に浸っていたあの時間は、今後ほとんどないかもしれない。そう考えると何ものにも変えられない時間だったと。
とおじさんながらうっとりしちゃいました。
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