めんどくさいオジサン

めんどくさいと言いながらいろいろやる趣味ブログ。最近は音楽制作とキャンプ。

2013年の読んでおいたほうが良い漫画 ベスト10

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毎年、師走になるとその年にふれた漫画や映画などの私的ベスト10をブログなどで発表しているのですが、今年は漫画だけで行きますね。

去年、映画を約100本見たのですが(うざくてごめんね)、今年はその半分ぐらいしか見ていないので(あげるなら、クロニクルとキャビンと横道世之介風立ちぬとか面白かった!)…

そのかわり漫画は結構買いました。たいくつ食堂という漫画を題材にしたポッドキャストをはじめたのもあって、新しいタイトルのもかなりの数買って、良い作品とも出会えて、今年は充実していたと思います~。

そんなめんどくさいオジサン的、2013年の読んでおいたほうが良い漫画ベスト10に入らせていただきます。

 

第10位 γ -ガンマ- - 荻野純

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ダークナイト以降って言っちゃっていいのかな。それ以降の所謂メタヒーローものです。

いろいろなヒーローが出てきて、「地球防衛軍ヒーロー相談課」にヒーロー業にまつわる悩みを相談しにきます。相談にくるヒーローが、ほかのヒーロー作品のパロディキャラで、悩みもそのヒーローの元ネタが抱えているものだったりして、そこがおもしろいです。あと女の子、可愛いです。これ大事!

 

第9位 新黒沢 最強伝説 - 福本 伸行 

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帰ってきた黒澤。久しぶりに漫画を読んでいて、涙が出るぐらい笑いました。とにかく前作読んだ方は、何が何でも読んでみてください。間違いないってこういうことを言うんだと思います。

 

第8位 アゲイン - 久保ミツロウ 

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久保ミツロウの前作「モテキ」で描いてきた男は、モテばかり気が向いていて、自分にしか興味が向いていない、駄目な童貞ヤローとして描かれてきた。(そこがいいのだが…)

「アゲイン」では、しっかりいい男を描こうとしていると思う。もちろんはじめは、「モテキ」の主人公よりも最悪?なキャラクターなのだが、ちゃんと試練を与えて、成長させる。その成長の過程が、痛々しくも熱い。

また、Twitterで情報が拡散されてアレ!大変!なんて展開や、リア充爆発しろ!的な台詞も、今っぽくて嫌いじゃない感じっす。

最新巻でいい感じでおもしろくなってきているので、今後が楽しみです。

 

第7位 ハイスコアガール - 押切蓮介

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クラスの可愛い女の子とゲーセンめぐり。しかもその子がゲームの達人だったのだ。押切蓮介と同世代でゲーム世界ドップリだった自分にとっては、まさしく夢。そう、あくまでも夢であり、そんな景色は多分どこにもなかったのだと思う。だからこそ、この作品は輝いている。

話が進み、最新巻では高校生編となっているので、小学生編の時のような押切蓮介が得意とするバカ過ぎて頭がとろけそうなギャグが減ってきて、その辺は無邪気に楽しめなくなってきたけど、ラブコメとバトルでしっかりしていて相変わらず、おもしろい。またアニメ化も決定されたとのことで、嬉しいですー。

 

第6位 遠浅の部屋 -  大橋裕之

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大橋 裕之の自伝的名漫画。

そんなに興味がないのに、プロボクサーになりたいと実家を飛び出し、ジムにはあまり行かず、バイトでマネーを稼ぎながら、思いついたかのように漫画家を目指す主人公。自分が何者なのかわからず、ただひたすら無駄に時間が過ぎていく時期は、誰にでもあったと思う。

自分も、昼間はブックオフをめぐって、村上春樹や自意識満点の詩集を100円コーナーから買いあさり、夜は記憶が飛ぶほど実家のウィスキーを飲みまくる日々があった。

そんな日々は、気づくと終わっているもので、「遠浅の部屋」でもそんなことが描かれている。北野たけしの「キッズリターン」のような、ラストはとても爽やかな気持ちにさせてくれるので、おすすめです。

 

第5位 同人王 - 牛帝

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体力もない、人見知り、自信があった漫画も才能がない悟ったときに、主人公が自殺を考える。そこで登場したヒロインの女の子は、とりあえず、すごいんです。

 

「すべての犯罪の元凶は、あまった性エネルギーはなの!おちんちんに精液がたまりすぎると人は犯罪行動に駆られてしまう」

「でもみんな犯罪に走るわけじゃない、じゃあ残りはどうするのか…あなたのように自滅に走るのよ!!」

「だから女の子がヌいてあげればいいの…ねぇセックスしよ…」

 

こう書くと、エロマンガにありがちの展開だが、ヒロインがこうなった理由は語られていて、 その理由がかなり重くて、こう極端に狂ってしまうことに対して、説得力ある。

また、この漫画のヒロインの女神性は、様々な少年漫画や宮崎駿などが描くヒロインに通じるものがあり、綺麗ごとや欺瞞や母性や抜きにすると、こう露骨なキャラクターが誕生するんだなぁ~とやけに納得しました。

後半はかなり熱い展開になっていき、これは牛帝の漫画に対する情熱がそのまんま、漫画になっているんだと思います。荒削りだけど、おもしろい!

 

第4位 失踪日記2 アル中病棟 - 吾妻ひでお

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ものすごく勉強になりました。

吾妻ひでお自身が、アル中になって、アル中病棟に入院した話が描かれている。

実体験ってこともあるけど、ものすごい情報量。だけど、わかりやすくアル中のハウトゥが説明されており、しかも漫画としておもしろいのだ。これはかなりのはなれ業だと。

出てくる登場人物が一人ひとり、そんな深く描かれていなくて、病棟でこんな人いました~的な切り口が、なんだかともてリアル。またこの軽いタッチもいいのかもしれない。

そして、病棟や街にいる主人公を引いたところからの絵がけっこう出てくるのだが、この絵を見ているだけで単純に楽しいし、世の中にはいろいろな人がいて、いろいろな生活があるんだなぁ~とぼんやりと考えました。絵の力だと思います。

また、アル中病棟でも最後は、学園青春モノみたいに、ささやかな卒業があるんです。そしてこれからどうしようか~と終わるラストシーンを読んだときに、自分は感動してこれは名作だ!と確信したことがやけに記憶に残っていて、素敵な漫画体験ができたっとことだと思う。

 

第3位 惑星9の休日 - 町田洋

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自身のサイトでひっそりと漫画を公開してきた町田洋。電脳マヴォに掲載した「夏休みの町」が今年の文化庁メディア芸術祭のコミック部門の新人賞をとったりと、じわじわきている新人さんです。

そんな彼の初のコミカラズが、「惑星9の休日」です。

お話的には「惑星9」という閑散とした星があって、その星に暮らす人々の日常が描かれている。また、ちょっとしたSF的なお話があったりして、その辺がセンスオブワンダー!ではないけど、ちょっと不思議な雰囲気がなんとも心地いい。

町田洋は特徴として、人の心の変化を風景として、切り取るのがとてもうまいだと思います。

「午後2時横断歩道の上で」という話では、なんでもない日常の中、なんとも思ってなかった女の子と横断歩道渡っているときにいきなり恋に落ちる、そんな話があって、そのシーン見開きを使ってドーン見せている。その見開きのシーンが絵として魅力的で、主人公にこんなこと言わしちゃう。

「この瞬間は永遠だと思った」

くーーーたまらん。

青臭すぎない?って方、ご安心ください。絵が、グラフィック的というか、ところどころカクカクしていて、全体的にはさっぱりとした印象。多分テン年代はこういう漫画を読んでいるとモテると思います。

自分的には、西村ツチカや市川春子に続く、新しい才能を持った新人さんだと思ってます。これからが期待です。

 

第2位 にこたま - 渡辺ペコ

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「私たち、29歳で最後の思春期迎えます。いい年齢だけど大人じゃない、仲良しだけど踏み切れない。」というキャッチコピー、30を迎える前の心をドロドロ。これに注目した作品って意外に少ないのでは、なんて思います。

ストーリー的には交際9年・同棲5年のカップルが、仕事、結婚、子作りに右往左往するのですが、文字通り「現実」に圧倒されます。この現実感は女性だから書けるものなのでしょうか。

実際に今年、私結婚したんですよ。結婚式前に今後の人生のことを考えていると、かなり気が重くなってしまって…まさに、にこたま状態でした。

でも実際にはこの漫画、カップルの男側が会社の先輩と一夜の過ちで妊娠させてしまって、先輩は私生むわ。やべーっと思っていたら、同勢中の彼女は、子供が生めない体ということが発覚する…とかなり重い話で、なかなかレアケースだね、ありえないと思いつつも…

この漫画に刺さってしまうのは、普遍的な女性と男性の人生観の違いがあって、それは結婚する身になると如何様にも、少しは理解しなきゃいけない。そんな葛藤をしながら、「俺は駄目だ。」と自己嫌悪し続ける男に本当に感情移入してしまいました。

そして最終巻が、重い出来事を見事に解決!ってわけにはいかないまでにも、すごく爽やかなラストで、前向きになれました。

正直、これからもいろいろ悩むことがあると思うのですが、とりあえず、女の子の笑顔が無敵ってことがわかった漫画。渡辺ペコさんにありがとうと言いたいです。

 

第1位 カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生 - 渋谷直角

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元ライターの渋谷直角の短編集。まず、インパクトのあるタイトル。そして、ほかの話のタイトル。

 

・空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋

ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園

・口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女もぜんぶ持ってかれる漫画 (MASH UP)

 

…と視点が本当にいじわる。実際、そんな人達がこっけいに描かれているので、痛い奴だなーと笑っていたら、読後はものすごく心がズキズキしていた。

お話的には、自我を持ってしまって、自己表現をしていたり、強烈なこだわりをもってしまった人達が、何かしらひどい目に合うという話です。

タイトルの話(カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生 )では、のし上がるためには手段を選ばない、メジャーデビューを目指す歌手の女の子が、トラックメーカーや有名なプロデューサーに体を売りまくる。そして体を売りまくった結果…っていうのが落ちなのですが…

全体を通して描かれているのは、「好きなもの」や「夢」を持ってしまったことによる呪いです。

例えば、とある男がはじめて行ったクラブで強烈な初期衝動をDJをはじめる。その初期衝動は純粋だったが、活動をはじめると、いろいろな欲が出てくる。

オオバコで回したい!モテたい!あいつ俺よりもセンスないのになんで!?嫉妬!

次第に心が腐っていく。そして、俺を認めないマジョリティ側が悪いんだ!となっていく。自分が20代そこそこときに感じていたことなのですがね。めんどくさい奴だよね。

あれ!?これって何かに当てはまりません…。

そう、ご存知!まどかマギカですよね。

 

「希望を祈ればそれと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。」

 

京子という魔法少女と台詞なのですが、魔女少女のシステムと「夢」を持ったしまった後のシステムはおんなじだわ~と。先に願いは叶うか、願いを叶えようとするかの違いです。

そう思うと、現実厳しいわー夢を持てなんて、言えないっすわ…となってしまうところろ、ちゃんとこの漫画には、少しの希望を残してくれて、「口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女もぜんぶ持ってかれる漫画」って話で、絶望からそれでも俺は好きなんだ!やるしかない!っていうのが落ちで、ただ単にシニカルな視点だけではなく、そういう精神論をあって、最後は精神論的展開が好きな自分にとっては、最高でした。また、この後に出た「リラックスボーイ」ではその先のが描かれているような気がして、とにかく今後も渋谷直角の漫画は買い続けると、ここで宣言しますわ!

 

【惜しくもランク外】ほかにおもしろかった漫画など

ということで、上記が2013年のベスト10です。

ほかにもお勧めしたい漫画があって、下記に適当に書いていきます。

 

普通の男が、映画マニア(オタク)の女の子に惚れて翻弄される「ケンガイ - 大瑛 ユキオ」。それと対比しておもしろいのが、「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! - 谷川ニコ」であって、この漫画はオタク女子側から描かれている。もしかしたら、「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 」の主人公の将来が、「ケンガイ」のヒロインみたいになるのかな…なんて想像してみたり。

 

  

 

自分が大好きな青春学園モノでは、「R中学生 - ゴトウユキコ」が今年最終巻を迎えて、最後は変態革命みたいなラストがかなり上がりました。

 

  

 

去年のランキングで1位にさせていただいた、しまたけひとがイブニングで連載開始され、ちゃんとコミックになった「敗走記」も、背筋が伸びるいい漫画です。

 

  

 

僕の小規模な生活」の福満しげゆきの「就職難!!ゾンビ取りガール」も、相変わらず、福満しげゆきの現実キビシーギャグといいますが、とにかくタイトルに「就職難」と入れちゃうセンス最高です。

 

 

それと自分中ではすでにクラシック化されている「それでも町は廻っている - 石黒 正数」と「よつばと!  - あずまきよひこ」は、読んでいると心が安定します。そして気づいたらあれ?何かしら、この目から出てくる液体は…。

 

 

涙といえば「進撃の巨人 - 諫山創」最新巻を読んでいたら、何かしら、この目から出てくる液体は…。あまり売れていたので、まぁまぁじゃないって態度をとっていたのですが、認めます。すげーいい漫画です。

 

 

ちょっと漫画と離れるかもしれませんが、ザワザワする二人を紹介します。

まずは「ぼく脳」。「けつのあなカラーボーイ」というサイトでまったく意味がわからない漫画を出しているのですが、その意味のわからなさと、キーワードのセンスがやばすぎて、とりあえず笑うという反応とってまして。

気になりすぎて、ライブに行ったのですが、やっぱりまったく意味不明。だけど周りの人が笑っていたので、笑うという判断で正解だったようです。とりあえずやばすぎます。

次は「徳利」。ラップやポエトリーリーディングをやったり、Twitterinstagramでおもしろい投稿をしていたり、「ニクラジ」というポッドキャストをやっている方です。何が面白いのか、まだ言語化はできないのですが、代表曲「徳利からの手紙」で「生きているとこれ漫画だなと思うことがる」というパンチラインがあって、もしかしたら漫画の週刊誌を毎週読むように、徳利さんの漫画みたいな日々の生活を観測しているのかもしれません。

 …ってことで今年はこんな感じです。これは気なる!!!って作品があったら、是非手にとっても読んでみてください。

「茄子 - 黒田硫黄」という漫画で、自分は他者との折り合いのつけ方に、良い意味で多大なる影響を受けました。

 

 

もしかしたら、上記の作品の中で、今後の人生に影響を及ぼす作品に出会えるかもしれません。

そんな感じで、来年もライムスターのONCE AGEIN「きっと映画や漫画の見過ぎ 甘い言葉聴き過ぎで、時間の見過ぎ」を地で行きたい思います!

 

あー結構長くなってしまった。めんどくさい奴っすね。

それでは皆様、良いお年を~。

 

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