先日、自分がゆるく運営している音楽レーベルでコンピレーションアルバムを出したので、その打ち上げでレーベルメンバーとアートワークを担当してくれたデザイナーさんと呑んだ。
樹海 sea of trees / Future Disorder × on sunday recordings
そのとき、myspaceが主流だったところのインターネットでの音楽の聴き方や、もっと昔のインターネットが黎明期だったころの話題で盛り上がった。
要はなんか昔のインターネットってワクワクしたよね!?って話。
そのワクワクについて少し深く考えていたら思いのほか大きな話になったので、書いてみようと思う。(一部は、いち三流デザイナーの妄想と戯言です。)
混沌にあったワクワク感
2000年中盤~後半あたりかな。myspaceという音楽コミュニティーが流行ったのだけど、そのmyspaceのUIの使いづらさやサイトの重さったら、相当のストレスだったわけで。
管理ページでカスタマイズもできるのだが、自由度が高いけどcssをじか打ちしなきゃなので、当時css初心者の自分にはかなり難しかった。また、すぐにUIが大幅に変更されるので、変わるたびに混乱する。
逆に今の音楽系のコミュニティーというかSNSだと、soundcloudがmyspaceの台頭になるかと思う。
soundcloudのUIは洗練されてクールだし、ストレスフリーで音楽に接することができる。と当時のmyspaceとくらべるとホント素晴らしいWEBサービスだと思う。
ただ、myspaceにある胡散臭さから出てくるワクワクが感じされない。
自分のmyspaceページが自由にデザインが変更できるので、カッコいいものもあれば、ダサいのもあるし、頭がおかしいのではないか…と思ってしまうぐらい狂っているのもあった。
そんな個人個人が思い思いに作ったページ内で、その音楽を聴くという体験は、素敵ね!と思う体験もあったし、ヤバイものを聴いてるぞ!という体験もあった。
myspaceの自由度の高さが出てくる混沌。まぁ混沌なので言うのは二度目ですが、使いづらい。でもワクワクした。
soundcloudもアートワークは自由に設定ができるので、それなりに個性は出せるのですが、フラットな感じがする。そのフラットさがsoundcloudの素晴らしさなのですが…。
そんなsoundcloudですが、最近著作権にうるさくなってきたので、より整理が進んで、まっとうで親に見せてもはずかしくない素晴らしいサービスになっていくと思います…。悲
アップル的なUI/UXの影響
アップル的なデザインは素晴らしいと思ってます。
前衛的なデザインなのに使いやすい。
ざっくりですが、デザイン性とユーザビリティーは対義だった感覚と同義にしちゃった(そういう認識を広めた大きな要因の一つ)のがアップルだと認識しています。
それは、しっかりとしたコンセプトやビジョンを持ちつつ、ユーザーリサーチを怠らなかった結果であって、ユーザーのニーズにはなかったけど、ユーザーが求めるものを作ってこれた。
素晴らしすぎる!!!
そんなアップルの良い影響の部分で、アップル的なデザインの方法論を勉強してちゃんと実行すれば、それなりのものが作れると思う。あくまでも、そ・れ・な・りですよ~。
ただ、悪い影響の部分で、どのデザインもアップルっぽくなっちゃた。
特にパソコンやスマホのUI。アップルがスキュアモーフィックデザインをやめたら、みんなスキュアモーフィックデザインをやめましたからね。それぐらい影響力があるってことです。
自分も、ブリンブリンのリッチなデザインは仕事ではやめました。(別にフラットデザインは否定いませんよ。もしろ好きです。)
また、アップル的なUXアプローチって混沌なんてもってのほか!?よりシンプルに!ってところあるじゃないですか。それに対するのが、ウィンドウズであってこちらのアプローチはごちゃ混ぜ!混沌!正直、今流行っていないですよね。
ウィンドウズ10についてはちょっと楽しみだったりしますが。
そんな感じで、アップルのおかげで、みんなが使いやすいデザインが広まっていき、デザインが均一になって、みんながストレスがない素晴らしいユーザー体験ができるようになりました…。悲
(アップルは否定してませんよ!iPhone使っているけど本当に最高です!)
都市再開発のなんか残念感
都市の再開発のニュースを見たり、実際に再開発された街に行くと、なんだか少し残念な気持ちになります。
先日、綱島温泉が新駅開発の関係で営業休止になりました。もちろん再開発されることによって、より便利な土地になるのでしょう。
新宿の歌舞伎町だって、歌舞伎町浄化作戦の影響で全然雰囲気が変わった。
最近なんて新宿コマ劇場跡地に映画館なんかできちゃって、自分みたいな歌舞伎町が怖くて行けなかった人も気軽に遊びに行けるようになった。
家族連れでも安心な街に…。悲
とまぁ、誰もが安心でストレスフリーな街になっていっているとは思うのですが、それがsoundcloudのワクワクしなくなった感やアップルのフラット化感と似ていて、ちょっと残念な感じがするんですよね。
「誰もが良い思うもの」の残念な理由
多分その残念な気持ちの理由は、「誰もが良いと思うもの」を考慮しすぎたことによって、フラット化して、にたりよったりしたものが増えていったところにあると思う。
panpanyaという漫画家の「枕魚」という短編集で、景観まちつくりの条例でデザインや色などで統一感のある街の話が描かれている。
その街では景観に似合わないものは順次とり壊れていく。その隣町との境界に行くと、ふつうの街の景色が広がる。
最後に「お腹がすいた」という主人公に、「美味しい老舗がありますよ。隣町に」と言う。そして、「ニュータウンに老舗があるわけないじゃないですか」という落ちで終わる。
この漫画では景観まちつくりで整理された美しい街がディストピアなんじゃないかと思わせるような、ちょっとした皮肉がある。
panpanyaが描く漫画の特徴は、古くさく混沌とした街が活き活きと描かれているところがある。
こんな絵を見ているだけで、ワクワクします!
ここ最近、昭和の残り香を匂わせるような街や場所を「ディープスポット」(その名称は言いか悪いかは置いといて)なんて取り上げられることが多い。
そういう場所には整理という概念があまりないので、個人個人が主張し合って混沌としている。
フラット感がなくて散歩をしているだけで目新しくて、ワクワクします。
そういうディープスポットには、日本人はもちろんながら、海外の観光客も足を運ぶことが多くなっているとのこと。
それは例えば、映画ブレードランナーに描かれている日本的(アジア感?)でゴチャゴチャしたサイバーパンク的な町並みクールだぜ!そんな感覚をディープスポットに求めにきているかもしれない。
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そう考ええると日本に対して外国人は、整理されたものや均一性などあまり求めていないのでは。
もし、整理された町や均一化されたデザインがただ欧米の影響だった場合は、自分も真似しなくてもよくね!なんて思うところもある。
発展途上というノスタルジー
整理するということが、欧米の影響以外だったとしたら、日本の発展途上が終わって随分立ち、成熟してきているからかも。
世話しない時代も終わって、そろそろ整理でもするか!?なんてノリかな。そんな余裕が日本に出てきた。
そういう意味で、インターネットの黎明期も同じであって…。
そう考えると、青くて混沌とした発展途上という段階に自分達はワクワクしていたんじゃないかな~と思う。
そう考えると、ただ昔がよかったというノスタルジーの戯言に近いかもしれない。
それもまた悲しい…。
そんなわけで、デザイナーとして整理されたものは好き。だけど混沌とした飲み屋街も好き。
そんな自分のジレンマでした。
最後に…
それはそれ!これはこれ!って話かもですね。