6月、大雨の後に、自転車で通るたび「こんなところに魚なんているのかね」とぼやいていた用水路に釣りに出かけた。
着いて早々田んぼの濁った代掻きの流れ込みに、ブルフラットの直リグを打ち込む。ナマズのバイトがあるがバラす。魚、居たのね。
別の日、同じ用水路の同じ流れ込みに、 スパイロンの直リグを打ち込むと、ラインがスーッと持ってかれてフッキングするとバスが釣れてしまう。そうして今度は別の流れ込み周辺でシェリルピンを直リグで泳がせているともう1匹追加。流れ込み周辺に潜むバスは獲物を待機状態なのか、こんなに簡単に釣れてしまうのね。
いい思いができたので、そこからちょくちょくその用水路へ通うことにした。
行くと必ず生物の反応がある。バス、コイ、ニゴイなども釣れて、驚いたのが海から大分遠いのにシーバスも生息していた。(残念ながらバラしてしまったが)他にも、何かの小さい魚やボラなど生息し、ザリガニ、カエルも田んぼから水路に混じってくる。意外にも生物多様性があって良い水路だった。
この用水路だが上流下流に堰に囲まれて、その距離が1kmぐらい。上流からの強い流れに田んぼの代掻き水の流れ込みが数箇所あり、常に水が動いている。
大雨が降るとより流れが強くなり水位が上がり、下流の堰の段差が汽水域の川とフラットになり、そこからシーバスやボラが登ってくるようだ。そして大雨の後はすごい魚達の活性が上がる。特にコイ。
こうポイントに通うことによって、その水辺の環境を理解できることは、釣りを始めなければ気付けないし、その過程が面白い。またより水辺を大切にしたいという気持ちが強くなる。
少し前に読んだ『名物ルアーショップ店主がついに明かした「釣り具」のウソホント』という本に、「釣り人が水辺環境を守る未来像」という章がある。その中で、「水辺に一番関心を持っているのは釣り人である。そして、本気で水辺環境を守れるのは釣り人かもしれない」と書かれていた。その時は少し理想的すぎると感じたが、今ではその意見に共感ができる。
そんなわけで、田んぼに水が張っている夏の間は、どこにでもあるようなその用水路を存分に楽しもうと思います。