12月も後半に入り、今年もあと少しで終わろうとしてます。
今年もそこそこ漫画を読んだりしたので、おもしろかった漫画を10作品を紹介しようと思う。
自分はかなり熱い思いで、漫画や本やアニメや映画なの本当に楽しんでいて、感動したり、人生のこと思ったり、結構どっぷり楽しんでいるほうだと思う。もちろん現実でもそこそこ頑張っているのだが、これはただの…
現実逃避なのではないか??
大丈夫なのか?
俺…?
だってもういいおじさんだぞ?
なんて考えていたこともあったのだが、宮崎駿の『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 』という本で、宮崎駿が「人生なんて退屈だから映画を見るんだ」みたいなことを語っていて、「そうか。人生なんてつまらないものだから、漫画や本やアニメや映画を見続けてもいいんだ」という気持ちが、強固になった年でもありました。
ありがとう。宮崎駿大先生。
10位 ヴィンランドサガ - 幸村誠
毎回出るたびテーマが考えさせるので、とても深い漫画になっていると思います。
9位 懲役339年 - 伊勢ともか
革命の話を最後までちゃんとやりきっていて、清々しい漫画でした。
8位 僕がいない街 - 三部けい
話の推進力になっていた謎が解明しても、まだおもしろいからすごい。
7位 鼻紙写楽 - 一ノ関 圭
感想はこちらから。
6位 波よ聞いてくれ - 沙村広明
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5位 ダンジョン飯 - 九井諒子
ダンジョンの奥深くでドラゴンに挑むも、妹を丸呑みにされてしまい、脱出魔法によって金や食料も失った冒険者・ライオス一行。妹が完全に消化される前に一刻も早く救出するため、食料をダンジョン内で自給自足で調達しながらドラゴンの討伐を目指す。スライム、バジリスク、ミミック、襲い来る凶暴なモンスターを倒し食べながらダンジョンを踏破する旅が始まる。(書籍の紹介文より引用)
出落ちになりかねなひとつのアイデアで、ここまで長くおもしろくなるのはすごいです。
感想はこちらから。
4位 なぎさにて - 新井英樹
人類は滅亡するために生まれてきたのか――――!?
主人公・杉浦渚はどこにでもいる普通の女子高校生。
杉浦一家もどこにでもいる普通の家族。ただし、取り巻く世界は確実におかしくなっていた。
2011年に人類発祥の地・ケープタウンに不思議な木が生えたときから…突如として世界各地に生え始める不思議な木…
強制的に「世界の終わり」を意識させられる人類…
刹那的な享楽にふける人…全てを諦め投げやりな生き方を選ぶ人…全てが急速に変わり始めた世界の中で、
変わらないことを選び絶望に挑む、
家族の物語がここに開幕!!(書籍の紹介文より引用)
『ザ・ワールド・イズ・マイン』『宮本から君へ』『SCATTER あなたがここにいてほしい』と…もうカルト漫画の巨匠って言ってもいいですよね?新井英樹大先生の新作です。
今作は2011年以降の空気感を切り取った世紀末モノでもあり、家族モノでもある。今回も変わった漫画です。
例えば、関東でM7首都直下地震が起きる可能性が30年以内に70%!なんて数字が出ていたりする。今すぐにでも首都直下地震が起きてもおかしくないのに、ラーメンを食べたり、酒を飲んだり、ゲームしたり、漫画読んだり、パチンコ行ったり、鼻ほじったり…とわりかしみんな普通の日常を送っていたりする。ただ、『首都直下地震が70%』という根拠がよくわからない数字だし、東北の地震もすぐに忘れちゃう。危機がなかなか感じられないのだ。
この漫画では、危機がもっと可視化されていて、それはありとあらゆるところに雲の上まで伸びている不思議な木が生えており、その木の実?が弾けるとアウト。しかも逃げ場なんかはない。世界中に不思議な木が生えているから。わかりやすく危機が目の前にある。そんな世界観。
だがこの漫画に出てくる主人公家族は、みんなで焼き肉食べに行ったり、くだらないことで喧嘩をしたり、主人公は恋をしたり…強い意志で日常を過ごしているというか、日常は最強!!!みたいなテーマで新井英樹先生の切り口はさすがだな~と思えちゃう。
また、この漫画の魅力は新井英樹先生の作品には珍しく、主人公が少しぶっ飛んでいるが、まあストレートにかわいい。その辺も注目して読んでもらいたい漫画です。
3位 みちくさ日記 - 道草晴子
13歳の若さで「ちばてつや賞」を受賞し漫画家としてデビューするも、
ほどなく精神科病院に入院……著者が歩んできた15年以上にわたる
途方もない“人生の道草”と、再び絵筆を執るまでの涙と笑い、そして再生の記録。(書籍の紹介文より引用)
トーチで連載していたインターネット発の漫画。あらすじにあるように13歳で「ちばてつや賞」を受賞した少女が、その一年後には服を着たままシャワーを浴びて発狂。精神科病院に入院するのであった。その病院と外の世界を行き来する生活を、時にはのほほんと、時には自虐的に過ごす日々が描かれている。
物語はリアルな感じで辛い出来事が起こるのだけど、それをどこがおかしみを発見してうまくやり過ごす。道草晴子さんの性格なのかもしれないけど、それがすごくチャーミングで作品の魅力になっています。
同じような漫画では、卯月妙子の『人間仮免中』という漫画があるが、そこまでハードではなく、吾妻ひでおの『失踪日記2 アル中病棟』ぐらいのゆるい気持ちで読めて程良い感じ。
また作中で障害者と健常者の違いって何?みたいなことを、道草さんは考えるのだけど、想田和弘の『精神』のテーマと似たような感じもあり、そういうところを少し考えさせてくれるところも良い。
そして自分が大好きな、しまたけひとの『アルキヘンロズカン』を読んだ後と同じように、少し背筋な伸び、前向きになる読後感は、なかなか味わえない感覚であり、そういう漫画を読めたことは、とてもうれしく感じています!
2位 夕方までに帰るよ - 宮崎夏次系
ひきこもってしまった姉、カルト教団らしき怪しげなクラブ活動に熱を上げる父母、そんな家族と真正面から向き合えない「僕」……。
壊れかけた一家を通して描かれる、誰かと?がっていたいのに誰とも「本当」には?がれないすべての人に贈る99%の絶望と1%の希望の物語。(書籍の紹介文より引用)
あの!あの!今をときめく星野源!がタマフルで大推薦していた宮崎夏次系の新作。そして、宮崎夏次系初の短編ではなく続きモノです。1巻で終わりますが。
宮崎夏次系の魅力は、ギャグとエモとシリアスのバランス感覚が絶妙なところにあると思います。
今作は、カルト宗教団体にハマっている父と母を暮らしながらモヤモヤしている主人公が、別の怪しい人物の洗脳により、一人暮らしをしながら自宅にひきこまってしまった姉を救い出そうするお話です。こう書くと結構シリアスな物語だったりするのですが、今作も絶妙な絵柄とギャグでそう思わせないところがすごい。なんとなく園子温の『愛のむきだし』に似てるかも。
また、ちょっとでもエモにお話がふれると、唐突なギャグで照れ隠し!のようなパターンが今まで多かった印象(これはこれで良いです)なのですが、この作品はエモの照れ隠し具合が今までよりも弱く、最後泣かされそうになりました。宮崎夏次系の作品の中では、最も感動させてくれるストレートな作品に仕上がっている印象です。
同時発売された『ホーリータウン』も、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』のような群像劇ですごく面白かった。
1位 奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール - 渋谷直角
奥田民生に憧れる35歳のライフスタイル雑誌編集者・コーロキは、仕事で出会ったファッションプレスの美女・天海あかりにひとめぼれ。
しかし、それがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった……。
もう決して若くはないとはわかっているけど、仕事で迷い、今後の人生を憂い、うっかり恋に狂ったりもする……いつになったら、奥田民生みたいに「力まないカッコいい大人」になれるのか?
青春の最後の最後の残りカスのなかでもがき苦しむover35男たちの人生迷走曲!(書籍の紹介文より引用)
『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生 』で一気に売れっ子漫画家?になった渋谷直角の新作漫画です。
『J-POPのボサノヴァカバー…』にくらべれば毒っけが減って、物足りないって方もいるようですが、自分は今作のほうが好きです。っていうかものすごく好きなのです。
『J-POPのボサノヴァカバー…』は徹底的なシニカルな目線で、それがこんな漫画ばかり読んでいる自分にはグサグサきて最高なのですが、『奥田民生になりたいボーイ』では、シニカルな目線もありつつ、一周して愛が溢れている。
どんなに素敵な文化やイケてる音楽、質の良い洋服、趣のある家具、理想的なことが書かれた素晴らしい本など読んで武装をしても、現実に起こるみみっちいことに翻弄されるし、欲望から自分もまたみみっちい行動をとってしまう。だけど武装はやめられない…好きなんだもん!そんな感じだ。
また、女関係のいざこざにザワザワし、最後はサイコスリラーな展開になっていくスリリングなストーリーは『J-POPのボサノヴァカバー…』にはなくて、明らかに進化しております。そして今年読んだ漫画の中で最も熱く!面白かった漫画です!
そんな感じで2015年の面白かった漫画でした。
来年も退屈な人生の隙をみて、漫画をたくさん読もうと思います。